会員企業訪問記

株式会社王宮

おもてなしホテルを目指して

社風改善のために

ち、昔はとても社風が悪かったんです。
社員同士の会話がない、部署超えたコミュニケーションがない、挨拶もない、このままでは会社が潰れる!という危機感から、社風を変えるために多方面で勉強を始め、様々な取り組みを行いました。
その中でも特に重要視したことは、従業員さんのやりがいを高めること。
ですが経営層から「やりがいが大事だぞ!」と言うと反発が起きると教えてもらったので、どうしたら自然とやりがいが生まれるのかを考え、以下の4つを大切にしています。

1.自分の意見を聞いてもらえる土壌を作ること
役職、キャリア問わず、改善案を受け付けるボックスの設置(改善提案制度)からはじまりました。
現在では20万円までの決済権を各自に渡し、お客様を喜ばせるために、労働環境を良くするために何ができるかを自由に考えられる環境を用意しています。
これによって経営者目線で物事を考えれるようになり、結果他のビジネスホテルでは実施しないような様々なイベントが行われるようになりました。
毎月社員さん一人一人と面談も行っています。

2.成長の実感
優秀な人ほど成長を実感できないと辞めてしまうので、毎月の勉強会や研修、合宿を実施し、去年よりも成長した自分を感じられる仕組みを作っています。

3.会社や経営者から大切にされている実感
給与を業界より高く設定し、医療費全額負担(家族も)、誕生日プレゼント贈呈など福利厚生の充実に力を入れています。(ですがどれも当たり前になってしまうので、難しいところです。)

4.自分の仕事が社会に役立っている実感
「日本と中国の架け橋になる」という使命を浸透させたことで、ただ単にホテルを運営するのではなく、宿泊を通して日本に関心を持ってもらおう、好きになってもらおうという意識の変革が起きました。
最も業績アップに貢献した項目だと思っています。

また、社員は家族だと言ってますので、コロナ禍で大ダメージを受ける中でも従業員を辞めさせませんでした。さらには新卒採用まで行ったのですが、これが功を奏しました。
インバウンドが戻ってきた時、他のホテルが人手不足であたふたしている中でも、一丸となって稼動率90%という数字を叩き出せました。

倫理での学び

倫理の出会いで一番影響が大きかったことは、自身に利他の精神が欠けていることに気付いたことです。
自分のためにと努力をしてきましたが、実践は利他の精神、思いやりをもって行うものだと教えていただきました。
現在は努力に重ね、家族や従業員のために日々実践に取り組んでいます。
倫理実践は「しんどさからの脱却」ではなく「より良くなるために」行うというのが私の信条です。
中でも社長である兄とは、それぞれの担当事業を分け、お互い口を出さないようにして仲良くやっています。
昔から仲が良く、両親がわたしたちを等しく愛してくれたおかげだと思っています。

これからに向けて

ビジネスホテルではなく、新しく「おもてなしホテル」というカテゴリーをつくりたいと思い、大学などでも講演をさせてもらっています。
出張者が泊まるのがビジネスホテルですが、私たちのホテルはそうではありません。
中国のみならず世界の架け橋となり、日本の文化を体感できるホテルを目指し、自社だけでなく周りも良くなる会社を作ることが目標です。

取材後記終始笑顔でハツラツとお話しされる様子と、気付いたらすぐに机の汚れを拭いたり、床のゴミを拾われたりと環境美化を大切にされている姿勢に感銘を受けました。
おもてなしホテルという新カテゴリーの樹立を楽しみにしております。
(取材・文:大阪府倫理法人会 広報副委員長 志波 大輔)

※記事中の所属や役職およびインタビュー内容は、取材当時のものです。