
株式会社統轄本部オールケア・グループ 代表取締役 鎌倉義雄氏にインタビューしました。

▼企業情報
社名:株式会社統轄本部オールケア・グループ
設立:2003年12月
役職:代表取締役
住所:大阪府守口市本町1丁目6番13号 守口駅前ビル6階
URL:https://allcare.co.jp/
▼事業内容
01.居宅介護/ 02.重度訪問介護/ 03.移動⽀援/ 04.⾏動援護/ 05.同⾏援護/ 06.養育⽀援訪問事業/ 07.介護タクシー/ 08.⽣活介護/ 09.放課後等デイサービス/ 10.児童発達⽀援/ 11.保育所等訪問⽀援/ 12.短期⼊所/ 13.医療的ケア通学⽀援/ 14.障がい児・者訪問看護/ 15.訪問介護/ 16.介護予防訪問介護/ 17.計画相談⽀援/ 18.障がい児相談⽀援/ 19.居宅介護⽀援/ 20.就労継続⽀援A型/ 21.就労継続⽀援B型/ 22.介護職員養成研修事業/ 23.企業主導型保育園/ 24.有料職業紹介/ 25.コンサルティング業/ 26.結婚相談所
会社の誕生
私は大学を中退してから、しばらくホテルのアルバイトをしていました。
その仕事が本当に楽しくて、いつの間にか授業よりもバイトのシフトを優先するようになってしまって(笑)。
でも27歳を過ぎた頃に、「このままではいけないな」と思ったんです。
当時は“サービスを提供する側”よりも“サービスを使う側”になりたいと思い、ホテルを利用する業種の中でも華やかに見えた化粧品業界に飛び込みました。
──そこから経営の道に進まれるとは意外です。
そうですね。実は、化粧品業界に入ったきっかけは、大好きで尊敬していた方がその会社の社長をされていたからなんです。
その方が半年後に独立されると聞き、私は迷わずついて行きました。
2人で始めたベンチャーでしたが、やりがいがあり、夢中で働きました。
しかし10年が経つころ、お互いの考え方に少しずつズレが生じてきて…。結果的に退職を決意しました。
その後、IT企業に営業として転職しましたが、利益ばかりを追い求める姿勢に違和感を覚え、1年で辞めました。
ちょうどその後に入った浄水器メーカーで、応援として介護部門の仕事を任されたんです。
それまでのホテル・化粧品・ITといった全く違う業種の経験が、ここで一本の線につながったように感じました。
──そこが大きな転機だったのですね。
はい。介護の現場で出会った利用者さんやご家族の姿を見て、「人の役に立つ仕事を一生の仕事にしたい」と心から思いました。
ちょうど障害福祉の制度改正もあり、地域PRを行う中で利用契約がどんどん増えていきました。
ところが、「当社は高齢者介護が中心だ」と言われ、障害分野から外されることになったんです。
「それなら、自分でやるしかない」と決意しました。
──起業への道ですね。
はい。当時はお金もなく、仲間に少しずつ出資してもらって会社を立ち上げました。
銀行からの融資も、友人の紹介という“人の信用”で通してもらいました。
「医療的ケアが必要な重度の障がい児者を誰も断らない」──それを会社の原点に据え、事業を始めました。
ありがたいことに、事業は少しずつ広がり、行政公募にも挑戦して社会福祉法人との競争を勝ち抜き、新拠点を開設しました。
新卒採用の仕組みも整え、スタッフと利用者が共に増えていきました。
そして今では、分社化・ホールディングス化を進め、「現場に近い意思決定」を行えるようにしました。
最初は1社450名ほどの組織でしたが、今では子会社14社、スタッフは約700名。
“断らない福祉”の輪が、少しずつ広がってきたと感じています。

入会のきっかけ

私の会社の理念は「仕事を通じて人格を高め、人の心を豊かにする」なんです。
単に事業を大きくするのではなく、人として成長する場でありたいと思っていて。
そんな中、ある日スタッフが朝礼で『職場の教養』を使い始めたんですよ。
私はまだ会員でもなかったのに(笑)。
それをきっかけに興味を持ち、配布してくださった方や講話で倫理の教えに触れるうちに、
「あぁ、これは自分の理念と同じ方向を向いている」と感じました。
──会社の理念と重なるものがあった?
まさにそうです。
うちの会社の理念は「仕事を通じて人格を高め、人の心を豊かにする」。
どんなに立派な経営方針よりも、“人としてどう生きるか”を大切にしてきました。
だからこそ、「生まれたからには人の役に立とう」「仕事を通して心を磨こう」という倫理の考え方に、強く共感したんです。
それに、私は昔から“心の在り方”に興味がありました。
会社が大きくなると、人も増え、意見も多様になる。
その中で何を大切にすべきかと考えると、やはり「人としてどうあるか」に戻るんです。
倫理法人会は、それを実践を通して学べる場でした。
──実際に参加してみて、どんな印象でしたか?
初めてモーニングセミナーに参加した時の衝撃は今でも覚えています。
朝5時台から経営者の方々が集まり、笑顔で挨拶を交わしている。
その空気がものすごく清々しかったんです。
誰も“偉そう”ではなく、みんな「おはようございます!」って、心から声を出している。
あの瞬間に、「ああ、ここは“人が磨かれる場所”やな」と思いました。
倫理法人会は、私にとって“もうひとつの原点”のような存在です。
自分の理念が間違っていなかったと確信できた場所でもありますし、何より、私自身が人として成長させてもらえる学びの場です。
そんな心の変化を与えてくれたのが、倫理法人会との出会いなんです。
転機となるような学びは?入会してよかった?
──倫理での学びの中で、特に心に残っている教えはありますか?
一番は「感謝」ですね。
朝、目が覚めた瞬間に「今日も生かされていることにありがとう」と言い聞かせています。
うまくいかない日もありますが、そうやって一日のスタートを“感謝”から始めるだけで、心の持ち方が変わります。
それからもう一つ大事にしているのは、「原因を自分に求める」ということです。
「反省」という言葉の本当の意味も、そこにあります。
反省とは、ただ「すみません」と頭を下げることではなく、“なぜ自分はそう思ったのか”を見つめ直すこと。
そして「どうすればよかったのか」にまで踏み込むこと。
経営者である自分が「人のせい」にした瞬間、成長は止まると思っています。
「相手が悪い」と思った時点で、心は暗い方へ行く。
けれど「自分がどうだったか」と考えるだけで、光の方へ進める。
それを実感するたびに、「あぁ、心の使い方一つで人生は変わるんやな」と感じます。
家庭でも同じで、妻との関係も“感謝”で変わりました。
「ありがとう」と言葉にするだけで、空気が和らぐんです。
今では夫婦で『万人幸福の栞』を読みながら、心の学びを共有しています。

倫理法人会で学ぼうとしている経営者のみなさんへのアドバイス

──経営者の方々に伝えたいことがあれば教えてください。
やっぱり「反省なくして成長なし」ですね。
反省というのは、頭を下げることではなく、“なぜそう思ったか”を突き詰めることです。
人が悪いと思った瞬間、人は暗い方向に行きます。
でも「自分はどうだったか」と考えるだけで、光が差してくる。
本当に不思議ですが、反省して感謝が深まったときには、相手から声をかけてくれることさえあるんです。
まるで魔法のように。
私が大切にしている言葉に、「明るく・楽しく・素直に生きる」というものがあります。
常に良いことを思い、感謝を忘れず、素直に受け入れる。
そうすれば、たとえ困難な状況でも必ず学びがある。
そして“学びがあるということ自体が幸せなんだ”と思えるようになります。
経営の現場では、どうしても「スタッフが」「環境が」と外に原因を探しがちです。
でも実はすべて、自分の心の在り方なんですよね。
そこに気づくと、経営も人生も、すごくシンプルになります。
今後のビジョン
──これから、オールケア・グループをどのように発展させていきたいとお考えですか?
私たちの理念は「人の役に立って自分が成長すること」。
福祉というのは国の制度に左右されやすい分野ですが、だからこそ第二、第三の柱をつくりたいと思っています。
今は介護・障がい福祉が中心ですが、社内ベンチャーの仕組みをつくり、社員が“自分のやりたいこと”を会社の中で実現できるようにしています。
たとえば農業やキッチン事業、バックオフィスの新サービスなど、「人の役に立つならなんでも挑戦していい」と伝えています。
そして最近では「結婚相談所」も立ち上げました。
結婚や家族というのも、人が心豊かに生きるための大切な“福祉”の一つだと思うんです。
これまで支援してきた障がいのある方や、福祉の現場で働くスタッフの中にも、「出会いや結婚を通じて人生をより豊かにしたい」という声が多くありました。
だったら、それも私たちの手で支えよう、と。
“人の幸せをトータルで応援する”のが、オールケアらしい挑戦だと思っています。
長く現場で頑張ってくれた人たちが、体力的に厳しくなっても別の形で活躍できる。
そんな場所を社内にいくつもつくりたいんです。
今は子会社14社ですが、これを30社、30人の社長に増やすのが目標です。
現場に近い場所で経営判断を行い、地域のニーズにすぐ応えられる組織にしたい。
そして何よりも、“断らない福祉”を続けていく。
困っている人の「できない」を「できる」に変えることが、私たちの使命です。
これからも人と地域に寄り添い、仲間と共に成長していきたいと思っています。

編集後記
今回インタビューさせたいただき、鎌倉社長のお話から、福祉を超えて“人の幸せ”を追求する情熱を強く感じました。
制度や枠にとらわれず、社員一人ひとりの想いを形にする姿勢に、まさに「生きる力を支える経営」を見ました。
温かくも力強いリーダー像が心に残りました。
<取材> 渡辺洋亮/守口・門真倫理法人会 幹事
<撮影> 小栁宣昭/楽読奈良スクール/大阪都島区倫理法人会
2025年12月 No.325 掲載