カノン産業株式会社 代表取締役 植野直樹氏にインタビューしました。

▼企業情報
社名:カノン産業株式会社
設立:2005年
役職:代表取締役
住所:大阪府大東市新田中町3-40
URL:https://kanonsangyou.hp.peraichi.com/
▼事業内容
配管支持金具の製造・販売
会社の誕生
もともとは、義父が立ち上げた製造会社の商品を販売する目的で設立した会社でしたが、現在では製造の部分からも自社で手がけています。
なぜ販売だけでなく、製造から関わるようになったのかというと、今から20年前、父の会社が取引していた大手企業から、突然契約解除の申し出を受けたことがきっかけでした。一社依存の経営だったため、義父の会社は一気に経営難に陥り、長年使っていた広い工場も手放さざるを得ませんでした。
そのとき、私の会社が機械などを引き取り、製造と販売の両方を行う会社として再スタートを切ることになったのです。
現在は、「クオリティの高い商品を作り、短納期にも対応できる小回りの利く体制」を自社の強みとし、日々事業に取り組んでいます。
入会のきっかけ
私自身、会社設立当初は経営の勉強を全くしておらず、決算書の読み方すら分かりませんでした。そのため、1年目の売上はゼロ。そこから様々な学びを重ねていたある日、とある研修で一緒になった朝日里佳さんから「朝から論語を勉強している会がある」と誘われ、詳しい説明もないままに大阪梅田倫理法人会の第一回モーニングセミナーに参加することになりました。
参加してすぐに「これは論語じゃない!騙された!」と思ったのですが、そこで得られる学びの深さに心を打たれ、その場で入会を決意しました。

転機となるような学びは?入会してよかった?

入会して半年ほど経った頃、鈴木相談役から倫理指導を受ける機会がありました。それが、私にとって大きな転機となりました。
相談のために決算書を3期分用意したところ、鈴木相談役からズバッと私の給料が低いと指摘されたのです。「なぜ自分の給料を上げないのか」と問われ、「事業が軌道に乗ってからと思っている」と答えた私に対し、こう一言、言われました。
「自分はそれでいいかもしれないけど、苦労しているのは奥さんやで。」
その瞬間、ハッと気づかされました。「自分には覚悟が足りていなかった」と。まさか、自分が一番大切な妻を苦しめていたなんて思いもよらず、気がつくと涙を流していました。
その出来事をきっかけに、私は腹を括って仕事に向き合い、自分の給料を上げる決断をしました。すると不思議なことに、ちゃんと資金繰りも回ったのです。給料を上げられなかったのは、「自分は成功できない」と心のどこかで思い込んでいたからでした。まさに、考え方ひとつで現実は変わるのだと実感しました。
倫理法人会で学ぼうとしている経営者のみなさんへのアドバイス
金銭的な成功を目指すだけなら、他にも多くの学びの場がありますが、「自分と、自分に関わる人を幸せにする学び」は、倫理法人会でしか得られないものだと私は感じています。
モーニングセミナーはもちろん、長く倫理を学ばれている先輩方とのちょっとした会話の中で、ふとしたタイミングで素晴らしいアドバイスをいただけることがあります。
そのアドバイスは、広い視野と深い思いやりに満ちていて、私の中にはなかった視点を教えてくださいます。他の場では、勢いに任せた指摘を受けることもありますが、倫理では寄り添いと共感をもって接してくださるため、心にすっと入ってくるのです。
悩んでいるとき、落ち込んでいるときでも、「明朗でいこう!」と思えるアドバイスをたくさんいただける場所が、ここにはあります。本当に大切なものを学ばせていただいていることに、心から感謝しています。

今後のビジョン
今後3年以内に事業を拡大し、「現場のピンチを支える頼れる会社」として、誇りをもって笑顔で働ける職場をつくっていきたいと考えています。
これから事業を継いでくれる息子にも、創業者である先代の思いをしっかりと受け継ぎ、「人の役に立つこと」に喜びを感じながら働いてほしいと願っています。
「使う人も作る人も幸せなものづくり」を経営理念に掲げ、薄利多売ではなく、自社の得意な分野で売上を伸ばすことで、社員が満足し、それが自然とお客様の満足にもつながるようなものづくりを、これからも続けてまいります。
【取材 前田祐里/大阪梅田倫理法人会/幹事】
【取材 堀智恵/大阪梅田倫理法人会/幹事】
【取材 坪田有希子/大阪梅田倫理法人会/実行委員】
【取材 竪野由佳/大阪梅田倫理法人会/実行委員】
【撮影 幸合同会社 代表社員 澤利一/広報副委員長】
お義父様から受け継いだ事業を、奥様に支えられながらご子息へと伝えていかれるというお話を伺い、「家族あってこその仕事」であることを改めて実感いたしました。私自身も、世代を超えて「人の役に立つ」という喜びを受け継いでいけるよう、これからも成長してまいりたいと思います。
【植野直樹氏の所属単会/大阪梅田倫理法人会】
2025年8月掲載
※記事中の所属や役職およびインタビュー内容は、取材当時のものです。