
宗和工業株式会社 取締役社長 岸野真悟氏にインタビューしました。

▼企業情報
社名:宗和工業株式会社
設立:1961年11月
役職:取締役社長
住所:大阪府八尾市太田新町5丁目70番地
URL:https://www.souwadrw.co.jp/
事業を始めたきっかけ
宗和工業の成り立ちは非常にユニークです。1961年、初代が「定職に就かずフラフラしていた息子(2代目)が働ける場所を」という思いで会社を設立したのが始まりでした。その後、2代目に後継者がいなかったことから、社内選出の社員や外部の企業再生担当が社長や会長を務めるなど、数代にわたり「社員世襲」のような形で波乱万丈の変遷を繰り返してきました。そんな中で5代目の社長に就任したのが私の父です。6代目も社員世襲という流れだったのですが、候補者が見つからず、白羽の矢が立ったのが息子の私でした。
私は当時、電子部品の設計開発という全くの異業種で仕事をしていました。父から「今の会社へ転職して後継者になってほしい。」と声を掛けられた当初は事業を継ぐ意思はなく、その誘いも2年間拒み続けていました。しかし、お正月に帰省するたび、年末まで忙しく働く両親や家族のしんどそうな姿を目の当たりにして、「家族を助けたい、仕事を楽にさせてあげたい」という思いが強くなり、入社することを決意し、事業を受け継ぐこととなりました。

倫理法人会に入会した理由

入会のきっかけは、仕事でのお付き合いのあった安村氏(当時:大阪都島区会員)に経営の悩みを相談したところ、「いい会社が集まる会がある」と紹介されたのが倫理法人会でした。当時の私は自社と同じ規模の製造業がどのような考えで成長しているのかを学びたいと考えていた時期だったので一度見学に行くことにしました。
実際に入会を決めたのは、2022年10月ごろに紹介を通じて、製造業をされていた大阪府の会員企業である熊代さん(当時:大阪府倫理法人会 副幹事長)の会社を見学し、直接お話を聞いたことが決め手となりました。「社長交代の時期で余裕がない」と思っていたのですが、自分と同じ製造業の先輩が倫理で何を学んでいるかを知り、納得した上で2022年12月に入会しました。
人生の転機となるような学び
私にとっての大きな転機は、倫理法人会で「お役」を引き受けたことです。会社では社長という立場もあり周囲が気を使って動いてくれることが多く、自らの至らなさに気づいていないことも多々ありました。
元々、コミュニケーションや自ら進んで声を掛けるというのが苦手だったこともあり、事務局のお役を通じて苦手を克服しようとスイッチを入れたのが始まりです。事務局の受付業務の中で、会員さんの名前と顔を覚えて、自分から率先して挨拶を交わすという「実践」を続けたのです。
この経験から、人と良い関係を築くための「人間力」や「コミュニケーション力」が向上し、会社においても、自分から明るく挨拶をしたり、従業員に対して細やかな気遣いができるように変化していきました。自分を磨くために自らにハードルを与え、それを乗り越える意思と行動こそが、これからの経営者人生を切り拓く重要な鍵になると思っています。

入会を考えている人へのメッセージ

倫理法人会には、個々の課題を解決するためのヒントが溢れています。単に話を聞くだけでなく、あえて「お役」を引き受けることで、会社という守られた環境では気づけない自身の「現在地」を赤裸々に知ることができます。立場が通用しない場での実践は、経営者に不可欠な人間力を磨く最高のトレーニングとなりますし、目的意識を持って一歩踏み出せば、時間の密度が劇的に変わるはずです。もう一段ステップしたいと課題感を感じている方、ぜひ倫理法人会で一緒に学びましょう。
今後のビジョン
当社が掲げるビジョンは、「社員が成長し、幸せになれる環境づくり」です。社員1人1人が幸せになるためには、社長自らが積極的に学び、人間性を高めることが不可欠であると感じています。そして、その姿勢を社員にも感じてもらいながら、社員も一緒に学び自己研鑽できる会社を作っていきたいと思っています。 また事業においては、従来の受託生産に加え、自社から新しい形状を提案する「提案型営業」にもチャレンジしていきたいと考えています。長年培った技術を活かした「自社商品の開発」という新たな事業ドメインを構築し、さらなる発展を目指していきます。

編集後記
いつも事務局で実直にお役を務められている岸野さん。今回のインタビューを通じて、会社の歩んでこられた歴史や、その穏やかな佇まいからは想像もつかないほど熱く燃える「内に秘めた挑戦心」に触れ、私自身たくさんの刺激をいただきました。「倫理という場があるからこそ、人はどこまでも成長できる」。その言葉の重みに、岸野さんの真摯な生き様を見た気がします。
<取材> 田邉順一/大阪都島区倫理法人会 会員
<撮影> 小柳宣昭/道修町Studio 代表/大阪府広報副委員長
2026年3月 No.329 掲載