金本セロファン株式会社 専務取締役 金本浩孝氏にインタビューしました。

▼企業情報
社名:金本セロファン株式会社
設立:1996年6月24日
役職:専務取締役
住所:〒569-1123 大阪府高槻市芥川町4−3−2
URL:https://cellophane.co.jp/

▼事業内容
フィルム加工、包装資材の販売・製造

事業を始めたきっかけ

私たちの会社の原点は、戦後間もない混乱の時代にあります。祖父は母子家庭で育ち、食べるものにも困る環境の中で、「自分の手で生きる術をつかむしかない」と高槻の地にたどり着きました。最初は廃材のセロファンを活用した緩衝材づくりからの出発でした。やがてタバコ産業向けのフィルム加工に関わるようになり、祖父の強みであった発想力と改良の積み重ねから、日本で初めてフィルムロープを開発しました。藁縄や金属線が主流だった時代に、軽くて強く、扱いやすいフィルムロープは爆発的に広まり、会社の基盤を築きました。創業以来一貫しているのは、「ないなら創る」という姿勢です。お客様の「こんなものはできないか」という一言に応え続けてきました。花屋からの依頼で生まれた透明の花束用袋は、見た目の美しさと使いやすさを両立させ、全国へと広がりました。食品包装、駅弁容器用の特殊形状フィルム、菓子製造向けの加工資材など、小さな市場でも必要とされる分野に特化し、少量多品種・短納期で応える体制を築いています。大量生産で価格競争をするのではなく、困っている人に寄り添う事で選ばれる企業でありたい。その積み重ねが今日の私たちです。
一方で、製造業を取り巻く環境は厳しさを増しています。設備投資は高騰し、製品単価は簡単に上げられない。需要はあっても担い手が減り、日本全体が縮小傾向にある中で、経営は決して平坦ではありません。その中で私が大切にしているのが、「物心両面を豊かにする経営」という考え方です。利益だけでなく、関わる人の心も満たされる会社である事。約20年学び続けている盛和塾、そして倫理法人会での学びは、その軸をより強固にしてくれました。

倫理法人会に入会した理由

松田さんと前川さんにお誘いを受けていた為。

人生の転機となるような学び

倫理で学んだ事の一つに、「前四代、私、そして後四代の九代を意識して生きよ」という教えです。自分一代の損得ではなく、祖先と子孫の双方に恥じない生き方を選ぶという視点。経営判断も同じで、目先の利益だけでなく、未来にどう影響するかを考える。正しさを主張する前に、自らを律する。その姿勢が会社の空気をつくり、社員や家族、取引先との信頼関係を育むのだと実感しています。

入会を考えている人へのメッセージ

皆さまにお伝えしたいのは、上も下もなく、同じ立場で共に学び、そして一緒に悩み、共に考えてくれる仲間がいると言う事です。
経営者は孤独になりがちで、自分の考えが正しいと思い込みやすい立場です。しかし、相手が100%間違っている事はありません。一生懸命に挑戦して失敗するのと、惰性で失敗するのとでは意味が違います。謙虚に学び、襟を正し続ける事が、結果として会社の発展につながります。厳しい時代だからこそ、原理原則に立ち返る場が必要なのです。

今後のビジョン

今後のビジョンは、単なる売上拡大ではありません。子どもたちが「この会社をやりたい」と自然に思える会社にする事。継がされるのではなく、誇りを持って参画したいと思える会社にする事。そのために、既存事業の進化に加え、吸着フィルムなど新しい技術への挑戦も進めています。素材と技術で可能性を広げながら、人が育ち、助け合える風土を整える。それが、前後合わせて九代までが胸を張れる企業への道だと信じています。
また、日本市場だけに依存せず、海外への展開や新分野への参入も視野に入れています。小さな改善の積み重ねと挑戦を止めない姿勢こそが、次の時代を切り拓く原動力になると確信しています。地域に根ざしながらも、世界に通用する技術と志を持つ企業へと進化していきます。
物心両面の豊かさを追求し、誰かの役に立ち続ける企業へ。創業の原点を忘れず、学びを力に変え、未来へと歩み続けます。

編集後記

金本さんの人柄が滲み出てる良い記事と写真を撮影する事が出来ました。多く人に読んでほしいです。

<取材> 米田稔/高槻市倫理法人会 実行委員
<撮影> 澤利一/幸合同会社 代表/千里中央倫理法人会  幹事

2026年4月 No.330 掲載

※記事中の所属や役職およびインタビュー内容は、取材当時のものです。