就労継続支援A型事業所 みらいわーく 会長 加藤恭太郎氏にインタビューしました。

▼企業情報
社名:就労継続支援A型事業所 みらいわーく
設立:2021(令和3年)年1月7日
役職:会長
住所:大阪府大阪市北区天神橋3丁目10−17 天神橋藤本興産ビル 601
URL:https://www.miraiwork2021.com/

▼事業内容
AI技術で未来を創る、就労継続支援A型事業所。
一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、
充実した働き方をサポートします。

事業を始めたきっかけ

もともとは魚介類の卸売業を営み、スーパーで卸業の他、銀鮭の販売イベントを行っていました。そこで出会ったのが、重度の障がいを抱えながらも魚を気に入ってくれた一人の青年でした。その出会いをきっかけに、障がいのある方々との交流が始まりました。地域のSNSコミュニティ「枚方好きやん」のバリアフリー部で活動する障がいのある仲間たちと関わり、長年にわたりイベント参加や交流を続けてきました。枚方市で約60年続く「ふれあいフェスティバル」のお手伝いや、バスを借りた遠足などを通じ、障がいのある方もない方も共に過ごせる場づくりに関わってきました。
しかし、零細企業の経営者として、時間や資金を使ったボランティア活動には限界を感じ始めます。「このままボランティアだけでいいのか」と悩む一方で、「何とか力になりたい」という想いは消えませんでした。そんな中で出会ったのが、障がい者就労支援の「就労継続支援A型事業所」という仕組みでした。国の制度を活用しながら、障がいのある方の働く場をつくり、継続的に支援できる可能性を知り、「これしかない」と決意しました。
そこから1年かけて事業計画を練り、制度を学び、開業準備を進めました。しかし、立ち上げ時期はコロナ禍の2021年。周囲からは「今の時期に無理だ」「経験のない分野では難しい」と反対の声も多く、資金調達にも苦労しました。それでも覚悟を決め、経験者の協力も得ながら融資を実現し、障がいのある方が安心して働ける場として会社を誕生させました。地域とのつながりと、一人の青年との出会いから始まった想いが、この会社の原点です。

倫理法人会に入会した理由

当時の私は、いろいろな経営者の会に参加していましたが、「もうええかな」と思い、すべて辞めていた時期でした。そんなタイミングで、倫理法人会の会員でもある糸井さんから「倫理法人会って知ってるか?」と声をかけてもらいました。実はそれ以前から、いろいろな方に倫理法人会へ誘われることはありましたが、正直、ずっと断っていました。ネットで調べても賛否ある情報が多く、「自分には合わないかもしれない」という印象があったからです。
ただ、糸井さんに言われた時は少し気持ちが違いました。彼とは、これまでにもさまざまな面白いイベントを一緒に開催してきた仲でしたので、「彼が言うなら、一度行ってみようかな」と思えたのです。ただその頃はコロナ禍で、MS活動もオンライン中心でした。「オンラインでは雰囲気も分からないし、面白さも伝わりにくい」と言われ、リアル開催が再開するまで待つことにしました。
実は、糸井さん自身の変化にも少し興味を持っていました。以前の彼のSNS投稿は、今思えばかなりくだけた内容が多かったのですが、それが少しずつ、考え方や発信内容が変わっていくのを見て、「何かあったんかな」と感じていました。その変化の背景に倫理法人会があると知り、「これが理由なのかもしれない」と気になったのです。
そうして2021年4月に入会しました。振り返ると不思議なのですが、そのわずか2か月後に、現在の事業を立ち上げることになります。人生の転機の少し前に、倫理法人会との出会いがあったのだと思っています。

人生の転機となるような学び

実は私は、倫理法人会に入会してから何度も「活動を離れたい」と思ってきました。つい最近も、「一度、事業に集中したい」と相談していたほどです。その理由は明確で、今の自分が本気で取り組みたいのは、何よりも現在のA型事業所の運営だからです。業界全体が厳しい状況に入り、同業他社の問題も相次ぐ中、私はむしろ「今こそ勝負の時」だと感じています。厳しくなるほど、本当に価値のある事業所が選ばれる時代になります。だからこそ、このタイミングで事業に全力を注ぎ、日本一のA型事業所を目指したいと考えていました。売上規模や資金力だけではなく、「ここで働きたい」「ここなら成長できる」と思われる存在として、みらいわーくを業界の先頭に立つ事業所にしたい。そのために時間を集中させたいという思いから、倫理法人会を離れることも考えたのです。
一方で、倫理法人会そのものに疑問を感じる場面もありました。経営者の会でありながら、経営とは少し距離のある目的で参加している人もいるように感じ、「経営者団体としての価値とは何だろう」と考えたこともあります。しかし、山崎会長との対話の中で、「いろいろな人を受け入れることに意味がある」という言葉をいただき、考え方が変わりました。自分と違う価値観の人も受け止め、その中から学びを得ることこそ、倫理の本質なのだと気づかされたのです。
実際、倫理法人会での学びは、事業運営にも大きく活きています。もともと私は人前で話すことが苦手でしたが、モーニングセミナーや朝礼を通じて、人前で想いを伝える経験を積むうちに、自然と話せるようになりました。今では利用者へ向けて夢や展望を語り、組織の方向性を伝えることも、自分の大切な役割だと感じています。
また、倫理で学んだ朝礼の考え方を事業所にも取り入れています。利用者が毎朝短いスピーチを行い、心を整えてから仕事に向き合う時間をつくることで、作業効率や意識に変化が生まれました。以前は欠席連絡が相次ぎ、出勤も不安定でしたが、今では利用者の意識が大きく変わり、毎年、一般就労へ進む方も輩出できるようになっています。私はA型事業所を、単なる「福祉施設」で終わらせたくありません。福祉でありながらも、一つの企業として働く意識を持ち、社会へ送り出す場所でありたい。そのためには、優しさだけでなく、時には厳しさも必要だと考えています。倫理法人会での学びは、そうした組織づくりの土台として、確実に自分の中に根付いていると感じています。

入会を考えている人へのメッセージ

私が倫理法人会への入会を考えている方に伝えたいのは、「自分なりの楽しみ方を見つけてほしい」ということです。会員を見ていると、一人で静かに参加している方もいます。でも、その人が毎週来ているということは、きっとその人なりの目的や楽しみ方があるはずです。仕事を取るため、人脈を広げるためだけが参加理由ではないと思っています。講話を聞いて学ぶことが楽しい人もいれば、経営者同士の価値観に触れることが刺激になる人もいます。100人いれば100通りの関わり方があっていいと思います。
また、経営者として本当に成長したい、社会に価値を生み出したいと思うのであれば、「人を雇う」という視点をぜひ持ってほしいとも感じています。私自身、一人で事業をしていた頃は、どれだけ頑張っても限界がありました。しかし、人を雇い、組織化していくことで、自分一人ではできなかったことが実現できるようになります。人が増えることで責任も増えますが、その分、可能性も大きく広がります。
そして、経営者の仕事は、目の前の作業だけではありません。人と会い、つながりをつくり、未来の可能性を広げることも大切な仕事です。すぐに成果が出るわけではなくても、その積み重ねが後から大きな力になります。倫理法人会も、まさにそういう場所だと思っています。だからこそ、「自分に合う楽しみ方」を見つけながら、焦らず関わってみてほしい。きっと、その人なりの学びや成長につながっていくと思います。

今後のビジョン

私の今後のビジョンは、A型事業所として「日本一」を目指すことです。単に規模や売上で一番になるのではなく、「A型事業所といえばみらいわーく」と言われるような存在になることを目指しています。知名度を高めるのはもちろんですが、それ以上に、「ここで働きたい」「ここなら成長できる」と思ってもらえる事業所でありたいと考えています。
そのために重要だと思っているのが、従業員満足度(ES)の向上です。以前は顧客満足度(CS)が経営の中心とされてきましたが、今は従業員が満たされてこそ、その先のお客様や利用者にも良いサービスが提供できる時代です。だからこそ、給与水準の改善にも積極的に取り組み、昨年比で32%以上の賃上げも実施しています。
さらに、組織を成長させるためにはDX化も欠かせません。現在、勤怠管理や給与計算、食事・交通費管理、有給管理までを一元化できる独自システムの開発を進めています。利用者や従業員がスマートフォンで簡単に出退勤できる仕組みも構築中で、業務効率を高めながら、働きやすい環境づくりを進めています。将来的には、同じ課題を抱える福祉事業所へ展開できる仕組みに育てたいとも考えています。
一方で、私たちが大切にしているのは「人が人と関わる支援」です。在宅支援だけに頼るのではなく、通所を通じて社会との接点を持ち、利用者が元気になり、自立へ向かえる環境を整えることこそ、本当の支援だと思っています。時代の流れを追うのではなく、その一歩先を見据えながら、福祉と経営を両立した新しいA型事業所の形をつくっていきたいです。

編集後記

今回、みらいわーく様を訪問し、最も印象的だったのは、施設利用者の皆さんが明るく挨拶をしてくださったことです。単なる習慣ではなく、日々の関わりや組織風土の中に、倫理法人会で学ばれている実践が自然に根付いているように感じました。また、障がい福祉という分野において、AIに関する最先端技術の知識を持ち、それを現場に活かしながら利用者支援や業務改善へつなげようとする姿勢にも感銘を受けました。特に印象的だったのは、「日本一のA型事業所をつくる」という高い志です。規模や売上だけではなく、「ここで働きたい」「ここなら成長できる」と思われる存在を目指す姿勢こそが、他に類を見ない組織づくりにつながっているのだと感じます。福祉と経営、そして人への想いを高い次元で両立しようとする挑戦から、多くの学びをいただく機会となりました。

<取材> 宇野 聖太/大阪城倫理法人会/幹事
<撮影> 小栁 宣昭/道修町studio 代表/大阪城倫理法人会

2026年7月 No.333 掲載

※記事中の所属や役職およびインタビュー内容は、取材当時のものです。